最近、君は気付いた。君がいくら頑張っても、生涯を掛けて技を極めた職人の域に達することはできないだろう。
君が鍛冶作業台で作る品は十分役に立つし、追放の地の基準で言えばかなり良い物だ。
だが、適切な職人技が欠けていることも明白だ。高品質の品物を手に持った感触が懐かしい。
あの感触を取り戻したい。そのためには、適切な技術を持った人物を見つけて、その人物を…確保する必要がある。
君は「古代下水道」の闇の最深部にいる生き物の話を聞きつけた。それは街の地下に住んでいて、調べに行った者は皆食われたのだという。
君は好奇心に駆られた。その生き物は何かを守っているのではないか?どこから来たのだろうか?なぜそこにいるのか?
君は挑戦してみることにした。
今まで追放の地で生存し続けてきたが、暗闇に足を踏み入れるという危険を冒したことはなかった。
それを、やってみたいのだ。
最初は簡単な建物でも十分だ。だが最初に建設した壁では強い風を防ぐのが関の山だと、君にも分かっている。
武装した敵がその気になれば今の建物は簡単に壊れてしまい、財産は盗まれ今までの努力が水の泡になるだろう。
そろそろアップグレードしなくては。
君は首を振った。噂は本当だった。
砂漠に海賊がいるのだ。興味深いことに、彼らも腕輪をしている。
つまり、彼らも追放の地に閉じ込められているということだ。
海賊たちが「黒い手」を名乗って砂漠を走り回っていると知ったら、本物のセトの黒い手はどう思うだろうか。
君は、そんなことを考える。