フレデリカの詩
暇潰し編
誰が犯人かって?
それを探す物語に決まってるでしょ?
誰が犯人かって?
そもそも「何の」犯人かわかってる?
誰が犯人なの?
私をこれから殺す犯人は誰?!
Frederica Bernkastel
盥回し編
あなたの見たいものは、なんですか?
私がそれを見せてあげましょう。
あなたの聞きたいことは、なんですか?
私がそれを教えてあげましょう。
だけど、期待はしないで下さい。
目と耳を閉じているあなたにはきっと無駄なことだから。
Frederica Bernkastel
鬼隠し編
どうか嘆かないで。
世界があなたを許さなくても、私があなたを許します。
どうか嘆かないで。
あなたが世界を許さなくても、私があなたを許します。
だから教えてください。
あなたはどうしたら、私を許してくれますか?
Frederica Bernkastel
綿流し編
あなたの渇きを癒せない。
真実を欲するあなたがそれを認めないから。
あなたの渇きを癒せない。
あなたの期待する真実が存在しないから。
それでもあなたの渇きを癒したい。
あなたを砂漠に放り出したのは私なのだから。
Frederica Bernkastel
祟殺し編
井の中の蛙は幸せでした。
井戸の外に何も興味がなかったから。
井の中の蛙は幸せでした。
井戸の外で何があっても関係なかったから。
そしてあなたも幸せでした。
井戸の外で何があったか知らなかったから。
Frederica Bernkastel
目明し編
砂漠にビーズを落としたと少女は泣いた。
少女は百年かけて砂漠を探す。
砂漠ではなく海かもしれないと少女は泣いた。
少女は百年かけて海底を探す。
海ではなくて山かもしれないと少女は泣いた。
本当に落としたのか、疑うのにあと何年?
Frederica Bernkastel
憑落し編
罪を犯すことは怖くない。
怖いのは、それを認めること。
罰を受けるのは怖くない。
怖いのは、その痛みを知ること。
世界から罪と罰はなくならない。
だって、人間は未来を知ることができないから。
Frederica Bernkastel
罪滅し編
一度目なら、今度こそはと私も思う。
避けられなかった惨劇に。
二度目なら、またもかと私は呆れる。
避けられなかった惨劇に。
三度目なら、呆れを越えて苦痛となる。
七度目を数えるとそろそろ喜劇になる。
Frederica Bernkastel
皆殺し編
井戸の外の世界が知りたくて。
私は井戸の底から這い上がろうとしました。
井戸の外の世界が知りたくて。
何度、滑り落ちて全身を打ち付けても上がり続けました。
でも気づきました。
上れば上るほどに落ちる時の高さと痛みは増すのです。
外の世界への興味と全身の痛みが同じくらいになった時、
私は初めて蛙の王さまの言葉の意味がわかりました。
Frederica Bernkastel
どうかこの夜に何があったか教えてください。
それはたとえるなら猫を詰めた箱。
どうかこの夜に何があったか教えてください。
箱の中の猫は、生か死かすらも分からない。
どうかこの夜に何があったか教えてください。
箱の中の猫は、死んでいたのです。
Frederica Bernkastel
澪尽し編
井戸の外にはどんな世界が?
それは、知るために支払う苦労に見合うもの?
井戸の外にはどんな世界が?
それは、何度も墜落しても試すほどに魅力的?
井戸の外にはどんな世界が?
それを知ろうと努力して、落ちる痛みを楽しもう。
その末に至った世界なら、そこはきっと素敵な世界。
例えそこが井戸の底であったとしても。
井戸の外へ出ようとする決意が、新しい世界への鍵。
出られたって出られなくたって、
きっと新しい世界へ至れる・・・。
次回予告
誰だって幸せに過ごす権利がある。
難しいのはその享受。
誰だって幸せに過ごす権利がある。
難しいのはその履行。
私だって幸せに過ごす権利がある。
難しいのはその妥協。
Frederica Bernkastel
宵越し編
どうしてあなたは不幸なのですか。
自分の夢が見つからないからですか。
どうしてあなたは不幸なのですか。
大切な宝物を失くしてしまったからですか。
ならばあなたは幸せですか。
捜すことも失うこともない、「何もない」生き方ならば。
Frederica Bernkastel
解々し編
正義を口にすれば、他人は嗤う。
なんてそれは青臭い、無力な言葉なのだと。
悪を口にすれば、他人は罵る。
なんてそれは非道で、無情な言葉なのだと。
何も口にしなければ、何も言われない。
だから結局、みんな黙っている。
Frederica Bernkastel
正義を口にすれば、他人は嗤う。
なんてそれは青臭い、無力な言葉なのだと。
悪を口にすれば、他人は罵る。
なんてそれは非道で、無情な言葉なのだと。
みんな、黙っている。
でも本当は、みんなわかっている
Frederica Bernkastel
覚めない夢
誰だって幸せになる権利がある。
難しいのはその享受。
誰だって幸せになる権利がある。
難しいのはその履行。
誰だって幸せになる権利がある。
難しいのはその妥協。
Frederica Bernkastel
祭囃し編
誰だって幸せになる権利がある。
難しいのはその享受。
誰だって幸せになる権利がある。
難しいのはその履行。
誰だって幸せになる権利がある。
難しいのはその妥協。
Frederica Bernkastel
だって、これから
もっともっと幸せになるんだもの。
これくらいじゃ、妥協なんてしないんだから。
私達は、これまでの幸せを全部取り戻すよ。
私は百年分を。
あなたは千年分を、ね。
Frederica Bernkastel
賽殺し編
天よりパンが降ってきた。
ある者はなぜ肉でないかと大いに嘆いた。
天より肉が降ってきた。
あの者はパンが良かったと大いに嘆いた。
天より神様が降りてきた。
全員が喜ぶ物がわかるまで、当分は水を降らせます。
Frederica Bernkastel
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