*序章
戦争の前の生活が忘れられない
今とは別の暮らし 上の━━━地上での暮らしだ
僕たちはかつて世界の支配者だった
ガラスと鉄で巨大なビルを建て 海を渡り 空を飛ぶことだってできた
そこには70憶もの仲間がいた
僕たちはトンネルで暮らすためなんかじゃなくて 新鮮な空気を吸うために生まれてきたんだ それを思い出した!
戦争で70憶もの命が奪われた 地下で生きながらえたのはたった5万人
地上は汚染され 焼き尽くされ 怪物の跋扈する地となっている&br;
地上の汚染が消え 僕の孫 もしくはその孫が地上に戻れる日が来るかもしれない
少なくとも オーダーの同志たちはそう信じている&br;
要するに 最初から僕たちに希望なんてなかったんだ&br;
それでも 人間とは諦めの悪い生物だ
出来る限りの生存者を集め 協力しあうことで メトロを新たな故郷としたのだ
結局のところ 地球で人間が住めるのは もはやここだけかもしれない…
一時はなんとかやっていけると思っていたが…&br;
しかし悲しいかな 戦争があっても 悪癖というのは変わらないらしい
今や 比較的安全だったトンネル内にも 汚染は広がりつつある&br;
かつて地上が危機にさらされたとき 抗う人間はごくわずかで その数もどんどん少なくなっていった&br;
だけど 僕たちはもっと良い人生が送れたんじゃないだろうか?
こんな地下で年老い 死んでいく運命を受け入れろと言うのか&br;
愚か者とそしられようと 旧世界の希望が外に存在してるなら 僕はそれを探しに行かなくては
永遠の絶望の中に ほんの一瞬でも希望が現れたなら&br;
僕は希望を選ぶ