''旅立ち''
私たちはその日のうちにエディスに向け出発した。
遥かなアフロカへと思いを馳せていた私たちは、見えざる力によってエディスに引き寄せられていることに、このときまだ気づいていなかった。
''エディスにて''
私たちが期待に胸を膨らませているときだった。見知らぬ2つの人影が、私たちのテーブルの横でぴたりと立ち止まった。
''再会''
「赤毛のアドルだな?」
男はそう言い、油断なく光る片目で私を見下ろした。私の返答を待つこともなく、彼は続けた。
「どうだ、俺たちと一緒に
"世界の果て"を見に行かないか?」
''カナンの大渦''
「ここが渦の中心——
そして今、俺たちが目指している場所だ」
胸の奥に力強い鼓動を感じ、私は改めて眼下の渦を眺めた。
《カナンの大渦》、その先に広がるまだ誰も見たことのない天地……。ラドックの語る世界には、私の求めるものすべてがあった。
''襲来''
船縁に駆け寄ると、私は海に視線を走らせた。
東の海上に、波を分けて迫ってくる艦列が見えた。見守るうちにそれは舵を切り、砲列の並ぶ船腹をずらりとこちらに向けて揃えた。
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RIGHT:アドル=クリスティン著
『翼の民を求めて』第一部より抜粋
IP:10.0.1.109 TIME:"2020-05-13 (水) 17:47:46" REFERER:"https://h1g.jp/ys6/?cmd=edit&page=%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC" USER_AGENT:"Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/81.0.4044.122 Safari/537.36"