CENTER:&size(20){Story}; 大鳥あいは別にゲームになんか興味はありませんでした。 最愛の妹、大鳥こころがゲームが好きだっただけで。 でも、こころと一緒にゲームをするのは好きでした。 こころが好きだと言ったゲームを自分で遊んだりしました。 そのゲームの名前は「夢現~ニエと魔女と世界の焉わり」と いいました。 大鳥あいは自分がつまらない人間だと思っていました。 特にやりたい事もなく、見つけられずに、過ごしてきました。 でも、妹と一緒にいるのが好きでした。 ずっと一緒にいられると思っていました。 しかし、両親の不仲から、二人は引き離されてしまいます。 &attachref(,nolink,100%); 引き離された二人はそれでも仲がよく、親に一年に一度、 二人の誕生日にだけ、会うことを許して貰っていました。 二人はキスをしました。一年に一度の、再会の日に。 離れていても、二人の心は一つだと、そう思っていました。 それは、二年前の誕生日。 いつも通り会い、いつも通りキスをしたその日から、 こころからの連絡が途絶えました。 遠く離れ、連絡も取れなくなった妹を思うと、 とても悲しい気持ちになりました。 &attachref(,nolink,100%); そんな、灰色の日々を過ごしていたある日、 妹が働いているというゲーム会社から、あいに連絡が入ります。 「妹さんの事、助けてあげて」 よくわからないままに、しかし妹のためならと地元で面接を受け、 妹のいる遠い街に上京を決めるあい。 訪ねたゲーム会社には、明るい変な事務員の太刀花なな、 昼夜逆転でいつ仕事をしているのか分からないちびっこ 怪獣シナリオライターの無限堂さき、 あいを呼び出した社長の醍醐ほのか、 そして副社長と呼ばれる、単に飼い犬のばな子といった 個性的なメンバーがいて、あいを受け入れてくれました。 更に、そのゲーム会社は、あの「夢現〜ニエと魔女と世界の焉わり」 を作った会社で、そのリメイク版を現在作成中でした。 こころが好きだと言った、あのゲームを。 &attachref(,nolink,100%); ただ、その肝心のこころは、名字も「柳谷」と変わり、 あいの事を名字で呼び、他人行儀に接してきます。 まるであの親愛の日々が嘘だったように……。 大鳥あいは別にゲームになんか興味はありませんでした。 ゲーム会社に入ったにも関わらず、そもそも前知識は殆ど無く、 ゲーム開発のお仕事は苦労の日々です。 でも、あいは決めたのです。 今開発中のゲームをこの会社の人たちと、 何よりもこころの、妹のために、制作のお手伝いをすることを。 ゲームを完成させる事が、 こころとまた仲良く姉妹に戻れるきっかけになるような…… そんな気がするから。 &attachref(,nolink,100%);