「誰も憶えていないことは、存在しないことになるのだろうか・・・」
本州の南に浮かぶ島ー朧月島で十年に一度開かれる朧月神楽。
その神楽の最中に、五人の少女が神隠しに遭った。
少女たちは一人の刑事に助け出されたが、
すべての記憶を失くしていた。
神隠しに遭った少女の一人、水無月流歌にはかすかに憶えていることがあった。
それは、一つの旋律・・・
ー仮面をつけた人々に囲まれて楽器を鳴らす少女たちー
ーそして月の光の中で憑かれたように踊る仮面の女ー
旋律は繰り返され、速まり・・・やがて記憶は途切れた。
あの日、何があったのか・・・?
流歌はその想いを抱え、過ごしてきた。
十年後、神隠しに遭った少女のうち、二人が相次いで死んだ。
顔を覆い、泣き叫ぶような無残な姿で・・・
流歌と共に残された少女、海咲と円香は
友人の死の謎を解き明かすために朧月島に向かった。
そして二人を追って流歌も島へ渡る。
失った記憶の先にあるものを確かめるために・・・