#contents *第零章 暇潰し編 誰が犯人かって? それを探す物語に決まってるでしょ? 誰が犯人かって? そもそも「何の」犯人かわかってる? 誰が犯人なの? 私をこれから殺す犯人は誰?! Frederica Bernkastel *第壱章 盥回し編 あなたの見たいものは、なんですか? 私がそれを見せてあげましょう。 あなたの聞きたいことは、なんですか? 私がそれを教えてあげましょう。 だけど、期待はしないで下さい。 目と耳を閉じているあなたにはきっと無駄なことだから。 Frederica Bernkastel *第弐章 鬼隠し編 どうか嘆かないで。 世界があなたを許さなくても、私があなたを許します。 どうか嘆かないで。 あなたが世界を許さなくても、私があなたを許します。 だから教えてください。 あなたはどうしたら、私を許してくれますか? Frederica Bernkastel *第参章 綿流し編 あなたの渇きを癒せない。 真実を欲するあなたがそれを認めないから。 あなたの渇きを癒せない。 あなたの期待する真実が存在しないから。 それでもあなたの渇きを癒したい。 あなたを砂漠に放り出したのは私なのだから。 Frederica Bernkastel *第肆章 祟殺し編 井の中の蛙は幸せでした。 井戸の外に何も興味がなかったから。 井の中の蛙は幸せでした。 井戸の外で何があっても関係なかったから。 そしてあなたも幸せでした。 井戸の外で何があったか知らなかったから。 Frederica Bernkastel *第伍章 目明し編 砂漠にビーズを落としたと少女は泣いた。 少女は百年かけて砂漠を探す。 砂漠ではなく海かもしれないと少女は泣いた。 少女は百年かけて海底を探す。 海ではなくて山かもしれないと少女は泣いた。 本当に落としたのか、疑うのにあと何年? Frederica Bernkastel *第陸章 憑落し編 罪を犯すことは怖くない。 怖いのは、それを認めること。 罰を受けるのは怖くない。 怖いのは、その痛みを知ること。 世界から罪と罰はなくならない。 だって、人間は未来を知ることができないから。 Frederica Bernkastel *第質章 罪滅し編 一度目なら、今度こそはと私も思う。 避けられなかった惨劇に。 二度目なら、またもかと私は呆れる。 避けられなかった惨劇に。 三度目なら、呆れを越えて苦痛となる。 七度目を数えるとそろそろ喜劇になる。 Frederica Bernkastel *第捌章 皆殺し編 井戸の外の世界が知りたくて。 私は井戸の底から這い上がろうとしました。 井戸の外の世界が知りたくて。 何度、滑り落ちて全身を打ち付けても上がり続けました。 でも気づきました。 上れば上るほどに落ちる時の高さと痛みは増すのです。 外の世界への興味と全身の痛みが同じくらいになった時、 私は初めて蛙の王さまの言葉の意味がわかりました。 Frederica Bernkastel *最終章 澪尽し編 井戸の外にはどんな世界が? それは、知るために支払う苦労に見合うもの? 井戸の外にはどんな世界が? それは、何度も墜落しても試すほどに魅力的? 井戸の外にはどんな世界が? それを知ろうと努力して、落ちる痛みを楽しもう。 その末に至った世界なら、そこはきっと素敵な世界。 例えそこが井戸の底であったとしても。 井戸の外へ出ようとする決意が、新しい世界への鍵。 出られたって出られなくたって、 きっと新しい世界へ至れる・・・。 *次回予告 誰だって幸せに過ごす権利がある。 難しいのはその享受。 誰だって幸せに過ごす権利がある。 難しいのはその履行。 私だって幸せに過ごす権利がある。 難しいのはその妥協。 Frederica Bernkastel