ラズマの日記1
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備考 | - |
追放者ラズマの日記の一部。
父が亡くなったとき、あの人たちが来ることは分かっていた。時間の問題だった。
でも、見たこともない荒野ではりつけにされて、放置されるとは思いもしなかった。
あの人たちがよこした連中は、間抜けで臆病で、私を殺す勇気がなかったのでしょう。
そう考えると納得できる。奴隷や平民の卑しい血筋の者たちで、
王家の血を流すことを恐れたのでしょう。
代わりに私は手足を縛られ、口を塞がれ、ここに連れて来られた。
ハゲタカのエサになるところだった。それを、あの男が助けてくれた。
そう、あの男。均整の取れた体に褐色の肌。
シェムの草原地帯に点在する、都市国家のどこに行っても、あのような者はいないでしょう。
あの男は、はりつけになっている私の所に来て、氷のような青い目で私に問うた。
生きる気があるか?
今、荒野の果てにいる。かつては太子の娘だった私、今では名もなき一人の追放者となった私が。
私の手には、あの男がくれた斧がある。その重さが、私の心を落ち着かせる。
そう、私はこう答えたのだ。生きてみせる、と。
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更新日: 2018-08-27 (月) 23:19:28