一等航海士の報告
基本情報
重量 | 0.01 |
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備考 | - |
黒い手の脱走者に関する短い報告。
命令通り、我々は脱走者を追って南方の砂漠に向かった。
老いぼれコルビーが露出した岩の陰に隠れて、独り言をつぶやいているのを見つけた。
他の脱走者は見当たらなかった。
コルビーを尋問したところ、荒唐無稽な話を述べた。以下に、そのまま記載する。
「脱走ではない。ワシらは財宝を探しに出たんじゃ!ジャコビーがな、
あん薄気味悪い遺跡ん中、腕輪が「物見台」っちゅうやつにゃ、
わんさと財宝があるっちゅうたんじゃ。
ジャコビーは丈夫なロープん持って、他ん連中とワシを一緒に崖まで連れてってな、
あれを登るっちゅうんじゃ。あん崖は急だし、近くにうろつく人食いに
見つからんよう夜に登らにゃならんかったし。まぁ、ちょうど明るい満月の晩でよ、
てっぺんまで登ったんじゃ。ワシはな、ほんとは、あんな遺跡は嫌だったんじゃ。
月明かりん中見えんのは、黒い石ばっかりじゃ。財宝なんてどこにもありゃせんかった。
ジャコビーは、宝はどこだってあちらこちら探して、突っつき回して、
光る板を見つけたんじゃ。んで、あれじゃ、あの声が、星座やらナントカ宮やら、
いらんことをしゃべり出した。みんなジャコビーんこと怒ってな、
ここまで登らしといて無駄足じゃねえかって。そん時じゃった。
あんなもん見たんは、初めてじゃ。皮膚ったら疫病にやられた死体みたいで、
まっ黒い毛が逆立ってて、赤い目ん玉が地獄んごと光ってて、
グイっと立ち上がって羽ぇ広げて、月なんか全部かくれちまったんじゃ。
最初はジャコビーじゃった。ボキっと首が落っこちおった。
そんでもう、みんな大騒ぎじゃ。あれん捕まらん前にロープんとこ行って
下ん降りようとしてな。ワシもなんとかロープつかんで、急いで滑り降りたんじゃ。
手が焼けそうに痛かったが、そんどころじゃなかったからな。
上ん方じゃぁ、悲鳴とかなんか嫌な音がしてて、なまあったけえ血が
雨んごと降ってきおった。ロープが揺れて、崖にぶっつけられて、
アッと思ったら降り飛ばされて、落っこちて、そんで、木のてっぺんに
ぶつかって気を失ったみたいじゃ。目ぇが覚めたら砂漠にいたんじゃ。他には誰もおらんかった。
砂嵐が近づいてたんで、ワシは避難所を探して隠れたんじゃ。
そしたらあんたが、ワシを見つけてくれたんじゃ。」
コルビーは船に連れ帰る。処分を決める必要がある。個人的には、つるし首が妥当と考える。
他の脱走者をかばうために、でたらめを述べていることは明白だ。
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