神官の日記
基本情報
重量 | 0.01 |
---|---|
備考 | - |
革で装丁された日記帳。
この地で私とともに住む人々が、ここを追放の地と呼んでいることが、私には不思議だ。
私が名付けるなら、祝福の地とでも呼んだだろう。
ここは実際、素晴らしい祝福に満ちた場所なのだから。
私はポイタインで貴族の末子として生まれ、若い頃は無分別な愚か者だった。
その頃の私は、富と地位を求めるあまり焦燥し、いかがわしい他の若者と酒を飲み、
賭け事に没頭するようになっていた。
そうこうするうちに、私が賭け事で作った借金に父が気付いた。
私には選択肢がなかった。父は私を修道院に入れた。反省させようとしたのだろう。
率直に告白するが、私は立派な修道士ではなかった。
魂のことよりも目先の快楽に関心のあった私は、夜ごと修道院を忍び出て盗みを働き、
酒や食料を持ち帰っていた。言うまでもなく、私は修道士たちの間では有名だった。
だがそのうちに修道院長は、私が修道会全体に与える影響を気にし始めた。
彼は結局、私という害虫を駆除することに決めた。
ある日、深夜に目覚めた私は、丈夫なロープで手足を縛られていた。
たくましい二人組の男が寝床から私を持ち上げて、修道院のらせん階段から運び出した。
修道院長が付いてきていた。心配そうな、言い訳がましいような視線を私に向けていた。
「我が子よ、心が痛むが、他の者たちまで失うわけにはいかないのだ。
この者たちがお前を遠くへ連れていく。とても遠い所だ。
その地で、お父上ともミトラ様とも関係なく新たな人生を始めるがいい。
修道会にとってもお前にとっても、これが最善だ。分かってくれるな?」
彼は自分に言い聞かせるように言った。
「こいつらが俺の喉をかき切ることにしたらどうします、院長?あんたが殺したのと同じことですよ。」
私は言い捨てた。
「この者たちは、そんなことはしない。決して。」彼は私を運ぶ者たちをチラっと見た。
「新たな人生が最良のものにならんことを。」そして、行ってしまった。
私が荷車の荷台に乗せられ、袋をかぶせられた。独りになり恐ろしかった。
どれほど旅したのか、よく分からない。私は何回も別の者たちに受け渡された。
そのたび金貨をやり取りする音が聞こえた。道中で同じ境遇の者が増えていった。男も女もいた。
さまざまな土地の出身だった。身分の高い者も平民もいた。その全員が私と同じだった。
どこに行くのか、何が待っているのか、誰にも分からなかった。
シェムの奴隷商人に捕まったのだと考える者が多かった。
あの日が、それまでの人生の最後の晩になった。いつものように食事が配られた。
濃厚な野菜と肉の煮込みだ。皆と同じく、私も食べた。
そして皆と同じく、食事に何かが仕込まれていたのだろう、目の前が真っ暗になった。
その翌日から、新たな人生が始まった。
目覚めると、裸で、広大な砂漠の砂の上にいた。他に人はいなかった。
ただ遺跡のようなものと、他に何もない砂漠のみが広がっていった。
方角も何も分からず、適当に決めた向きに歩き出した。
誰かが、少なくとも何かが、見つかるだろうと思って。
危うく死ぬところだった。砂嵐が来たのだ。
砂が巻き上がり稲妻が光った。風を避けようと、半ば崩れた古い彫像の影に隠れた。
砂嵐の中には獣がいた。暴風の中に足音とうなり声が聞こえた。
私は人生を悔いた。何年もなかったことだが家族のことを思った。ミトラ様に祈った。
修道院長の心が理解できた。彼は立派な人物だった。本心で、子羊を守ろうとしていたのだ。
その瞬間、ミトラ様が私に話しかけてくださった。私一人に向けて。
ミトラ様の存在が私を包み込み、獣たちから私を隠してくださった。
人生の最も暗い瞬間に、私はミトラ様にこの身をすべて委ねたのだった。
砂漠から出たとき、私は新しい人間になっていた。
ミトラ様の導きにより私はこの場所を見つけた。
ここは我が神と、故郷から遠く離れ疲れ果てた魂のための祈所である。
追放者たちはここで休息を得ることができる。
他の者たちのしるべとなることを願って、この物語を残そう。
私は追放の地のさらに奥へと向かう。
そこにはなすべき仕事がたくさんあると、ミトラ様がお告げになったのだ。
入手方法
- 拾う:ミトラの静居
用途
コメントフォーム
コメントはありません。 コメント/神官の日記?
|
|